「求人を出しても応募が集まらない」「選考に進んでも大手企業に決まってしまう」――中小企業の採用担当者からよく聞く悩みです。新卒採用は大手企業と同じやり方をなぞっても勝ち目が薄く、中小企業には中小企業なりの進め方があります。業種を問わず多くの中小企業に共通するのは、採用にかけられる予算も人手も限られているという点です。だからこそ、闇雲に求人媒体を増やすのではなく、どこから手をつけるかの順番を間違えないことが重要になります。ここでは、中小企業の新卒採用はどこから手をつければよいのか、大手と同じ土俵に乗らないための考え方を整理します。
大手に情報で負けている構造をまず理解する
学生は就職活動で大手企業と中小企業の両方を見ています。その際、学生の側にはもともと大手企業への認知や理解が積み上がっているため、何も情報を出さなければ「大手の方が安定していそう」「企業規模が大きい方が安心できそう」という印象が自然に生まれてしまいます。従業員数や資本力といったリソースの面でも、中小企業は大手に及ばないのが実情です。何も情報を出さなければ比較の土俵に乗る前に大手へ学生が流れてしまうのが中小企業の新卒採用が置かれている構造です。だからこそ、中小企業の新卒採用のやり方は、大手と同じ条件で戦うことではなく、情報量で差を埋めることから始める必要があります。
中小企業が発信すべきは「カルチャー」の情報
条件面で大手に見劣りしても、社風やカルチャー、価値観の合う合わないは優劣の話ではありません。そこで差がつかないからこそ、中小企業が積極的に発信すべき領域です。発信の手段は大きく分けて次の3つです。
- 記事・コラムでの発信
- 画像での発信
- 動画での発信
記事・コラムでカルチャーを言語化する
社内で醸成されている文化や雰囲気が伝わる記事は、学生が入社後の姿をイメージする助けになります。
画像で職場の空気感を見せる
オフィスや現場、社員の表情が伝わる画像は、文章だけでは伝わりにくい雰囲気を補ってくれます。
動画で情報量を最大化する
一度に伝えられる情報量という点では、動画が最も多くの情報を届けられる手段です。文章や画像だけでは伝えきれない働く人の雰囲気や現場の空気まで、まとめて伝えることができます。
なぜ多くの中小企業が発信に手をつけられないのか
本来は大手より情報発信の工夫が必要な中小企業ですが、実際には発信を後回しにしている会社が少なくありません。その背景には、資金と人というリソースの少なさがあります。採用担当に専任を置けず、発信のための時間もお金も後回しになりやすいことが中小企業が情報発信に踏み出せない最大の要因です。この壁を越える方法は一つではなく、コンテンツ制作や情報発信の仕組みを外部に任せる方法もあれば、社内でノウハウを学びながら内製化していく方法もあります。丸投げの代行だけが正解というわけではなく、自社で撮影や発信を続けながら専門家の伴走を受けるという中間の選び方もあります。どちらが正解というよりも、自社のリソースと社内の得意不得意に合わせて選ぶことが大切です。
新卒採用を「片手間」から抜け出す
中小企業には人事部という機能そのものを置く感覚がなく、社長や経営幹部が本業と兼務しながら採用を進めるケースが多く見られます。日程調整や書類作成、エージェントとのやり取りなど、採用には細かい業務が数多く発生するため、片手間で進めるほど負担は重くなります。さらに、採用の進め方が雑になるほど入社後の短期離職につながりやすい傾向があり、反対にカルチャーフィットを慎重に見極めながら採用を進める会社ほど定着しやすい傾向があります。採用にかける体制と向き合い方そのものが入社後の定着率を左右するポイントです。片手間の採用から抜け出す第一歩は、社内で採用に関わる担当を明確にし、最低限の役割分担を作ることです。
「選ぶ視点」と「選ばれる視点」の両方を持つ
新卒採用を考えるときは、次の2つの視点を分けて考える必要があります。
- 応募者を選ぶという視点
- 求職者から選ばれるという視点
選ぶ視点:母集団を増やしてから見極める
中小企業の場合、応募者の中には大企業の選考からこぼれてきた人材が含まれるケースもあります。そうした母集団の中にも、自社に合う前向きな人材は存在します。大切なのは、最初から少ない応募者数で選考を進めるのではなく、母集団形成に力を入れたうえで丁寧に見極めていく姿勢です。母数が少ないまま焦って採用すると、結果的にミスマッチが起きやすくなります。
選ばれる視点:自社の立ち位置を客観視する
企業規模や知名度、給与や福利厚生だけでなく、働き方の自由度や理念への共感度といった複数の項目で、自社が求職者からどう見えているかを客観的に把握することも欠かせません。選ぶ側であると同時に選ばれる側でもあるという自覚を持ち、自社の魅力を一つずつ底上げしていく姿勢こそが母集団の質と量を変えていく分かれ目です。
条件ではなく「共感」で選ばれる採用へ
給与や待遇といった条件面だけで比較されると、中小企業はどうしても大手に見劣りします。条件面での競争にこだわりすぎず、理念やそこで働く意義への共感を軸にした採用に切り替えていく発想こそが中小企業にとって現実的な戦略です。あわせて、未経験者を採用しても育てられる教育体制を整えておくことも、中小企業ならではの魅力になり得ます。転勤の有無や働き方の柔軟性など、自社ならではの条件を明確に打ち出すことも、限られたリソースの中小企業が取れる有効な一手です。すべての条件で大手を上回る必要はなく、自社が誇れる条件を一つでも明確に伝えられているかどうかが分かれ目になります。
まとめ
中小企業の新卒採用は、大手と同じやり方をなぞっても勝ち目は薄いというのが出発点です。
- 情報を出さなければ学生は自然と大手に流れるため、カルチャーや価値観の発信から着手すること
- 発信が進まない背景にはリソース不足があるため、外注か内製かを自社の状況に合わせて選ぶこと
- 採用を片手間にせず、選ぶ視点と選ばれる視点の両方を持って母集団形成と自社の魅力向上に取り組むこと
どこから手をつければよいか迷ったときは、まず自社の情報発信の量から見直してみることをおすすめします。まずはお気軽に無料相談からご相談ください。
