建設業に若手が来ない本当の理由|データで見る構造と応募を増やす打ち手

COLUMN 採用支援

建設業に若手が来ない理由を、離職率・賃金・休日・求人倍率などの公的データをもとに検証します。感覚論ではなくデータで構造を押さえたうえで、待遇改善・教育の仕組み化・SNS発信という応募を増やすための打ち手を整理します。

建設業に若手が来ない本当の理由|データで見る構造と応募を増やす打ち手

建設業界では「若手が来ない」「若手がすぐ辞める」という声が長年聞かれます。ただ、こうした話は感覚論で語られがちで、実際のデータをもとに整理されることは少ないのではないでしょうか。この記事では、離職率・賃金・休日・求人倍率といった公的データをもとに、建設業に若手が来ない構造的な理由と、応募を増やすための打ち手を整理します。

建設業に若手が来ない理由は離職率にある?厚労省データで確認

厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」によると、建設業の高卒者の3年以内離職率は43.2%にのぼります。同じ調査では高卒者全体(調査産業計)の平均は38.4%ですので、建設業は他業種より高い水準にあるといえます。

一方、同じ調査の大卒データでは、建設業の3年以内離職率は30.7%で、大卒者全体の平均34.9%よりも低くなっています。大卒者は業界への理解や解像度をある程度持って入職している分、離職につながりにくいのではないかという見方もできます。

つまり「若手が来ない」というより、「入ってきた高卒者の半数近くが3年以内に離職してしまう」ことが、若手不足を加速させている一因と考えられます。業界としては、入職前の業界理解を高める発信と、入職後の育成体制の両方が課題だといえそうです。なお、建設業では就業者の高齢化が進んでいるとの指摘も業界内でよく聞かれますが、年齢構成に関する具体的な公的統計は本記事では確認できなかったため、ここでは踏み込んだ数値には触れません。

給料は本当に低いのか、厚労省の賃金統計で比較

「建設業は給料が低い」というイメージも根強くありますが、厚生労働省の賃金統計で確認すると、実態は一概にそうとも言えません。建設業は調査対象業種の中で8位に位置しており、賃金が最も高い業種・最も低い業種と並べると、年齢別も含めて次のようになります。

業種(順位)平均賃金19歳20〜24歳25〜29歳
電気・ガス・熱供給・水道業(最上位)43万7000円約20万4000円約24万4000円約29万8000円
建設業(8位)35万2600円約20万3000円約23万9000円約27万3000円
宿泊業・飲食サービス業(最下位)26万9000円約19万4000円約22万1000円約24万3000円

建設業の平均賃金は業種全体の中間より上に位置しています。注目したいのは若手世代の欄です。平均で見ると最下位の業種と大きく開いていますが、19〜29歳の若手に絞ると、最下位業種との差はぐっと小さくなります。キャリアの入口では業種による賃金差が出にくく、「現場のきつさに対して給料が見合っていない」と感じられやすい構造があることが、この表からも読み取れます。

休日の実態は改善傾向、だが道半ば

休日についても、国土交通省の調査(令和6年)で実態が示されています。同調査によると、週休完全2日(4週8休)を実施できている割合は、技術者で28.6%、技能者で29.4%でした。これは前年度比で技術者が7.4ポイント、技能者が3.6ポイント上昇しており、いわゆる「2024年問題」への対応が一定の効果を出していることがうかがえます。

一方で、4週4休(週1日しか休めていない)状態の人も、技術者で8.2%、技能者で7.6%残っています。最も多いのは4週6休で、技術者39.6%、技能者38.7%と、約4割がこの水準にとどまっています。

改善は進んでいますが、まだ道半ばという段階です。休日の少なさと賃金水準の物足りなさが重なると、「きつい現場・給料が見合わない・休みも少ない」という離職理由につながりやすくなります。

求人倍率が過去最高でも「若手が来ない」からくり

最近は「高卒の求人倍率が過去最高」というニュースも話題になっています。厚生労働省の取りまとめ(令和7年3月末現在)によると、2025年3月卒業の高校生の求人倍率は4.10倍で過去最高と報じられました。ただし、その内容を見ると単純に「引く手あまた」とは言い切れません。

これらを踏まえると、倍率の上昇は「企業が殺到した」からではなく「応募する若者自体が減った」結果だという見方ができます。介護分野で見られたように、求人倍率の上昇と待遇改善が必ずしも比例しないことも過去の例から読み取れます。また、日本の賃上げは「仕事の価値が評価された結果」というより「人手不足に追い込まれた結果」である可能性も指摘されており、求人倍率の高さだけで「これからは現場仕事が稼げる」と判断するのは早計かもしれません。

ただし、待遇改善に本気で取り組む企業も出てきています。ある経済ニュース番組の取材では、大阪のあるダクト製造会社が直近3年で平均給与を15%引き上げ、未経験者でも初任給がおよそ30万円、ベテランになると年収800万円を超えるケースもあると紹介されていました。人手不足を背景に、待遇面から本気で若手を呼び込もうとする企業が現れ始めているのも事実です。

建設業に若手が来るようになるための打ち手

ここまでのデータを踏まえると、建設業が若手に選ばれる業界になるためには、次のような取り組みが考えられます。

待遇改善

休日については国交省の調査でも改善傾向が確認できますが、まだ4割前後が4週6休にとどまっています。給与面でも、若手層では他業種との差が小さいという現状があるため、休日と給与の両方を業界全体で見直していく必要があります。

教育・技術継承の仕組み化

「見て覚えろ」という指導スタイルが、若手にとって続けにくさにつながっているケースも指摘されています。ベテラン世代自身も、若手への教え方を学ぶ機会が少なかった世代であることが多く、教育担当者側への支援も含めた仕組み化が求められます。

SNSでの情報発信

採用の場面では、TikTokやInstagram、YouTubeといったSNSを使った発信が広がっています。人柄や社長の考え方など「会社の売り」が伝わる動画を配信したり、「そんなにきつくなさそう」「ちゃんと帰れる」といった、建設業のイメージを塗り替える見せ方を意識したりする企業が増えているようです。

実際に、従来のリクルート媒体では反応が薄かったものをSNSに切り替えたところ応募者が増え、しかも現場作業を希望する若手からの応募が増えたという例も紹介されています。自社で撮影する場合は緊張感のない自然な表情が撮れる一方、構成や見せ方はプロの手を借りた方が伝わりやすくなる場面もあります。内製、自社撮影とプロ伴走の組み合わせ、フル代行など、企業の体制や予算に合わせて選択肢を検討することが大切です。また、入社前の不安を社員に聞き、それをコンテンツ化して先回りで解消していくといった工夫も、ミスマッチを減らす方法の一つとして挙げられます。

まとめ

建設業に若手が来ない理由は一つの要因では説明できず、待遇・教育・発信のいずれも地道な改善が求められます。自社の採用課題をどこから見直すべきか迷っている方は、まずはお気軽に無料相談からご相談ください。

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