「高卒採用に興味はあるけれど、大卒採用や中途採用とは勝手が違いすぎてよく分からない」。中小企業の採用担当者からは、こうした声をよく耳にします。実は高卒採用には、大卒採用にはない独特のルールがあり、その仕組みを理解しないまま求人を出しても、なかなか高校生には届きません。この記事では、高卒採用 ルールの基本と、そのルールの中でどう学校とつながっていけばよいかを整理します。
高卒採用が「一人一社制」から始まる理由
高卒採用を理解するうえで、まず押さえておきたいのが「一人一社制」と呼ばれる運用ルールです。大学生であれば、自分で何十社にもエントリーし、比較しながら就職先を選ぶのが当たり前です。ところが高校生の就職活動は、原則として応募できる企業が一社に絞られる仕組みになっています。
このルールは、高校生の職業選択の自由を奪うためのものではありません。法律上、職業を選ぶ自由そのものは誰にでも保障されています。それでも高卒者の就職活動には、長年にわたって積み重ねられてきた独自の運用ルールが存在しており、そのベースにあるのが「高校生はまだ社会経験の少ない立場であり、守られるべき存在である」という考え方です。2022年には成年年齢が18歳に引き下げられましたが、高卒採用の仕組み自体は、こうした保護的な発想を土台にしながら少しずつ形作られてきた経緯があります。
だからこそ、高校生の就職活動は「本人が自由に応募して選ぶ」のではなく、「学校の先生が間に立って進める」という形が基本になっているのです。
学校求人票と先生を通じた採用の仕組み
高卒採用には、大卒採用にはない特徴がいくつもあります。まずは全体像を押さえておきましょう。
- 応募は原則一人一社までという制約がある
- 学校に届く求人票が高校生との出会いの入り口になる
- 学校の先生が生徒に企業を紹介・推薦する役割を担う
- 就職先は地元や学校とつながりのある企業に偏りやすい
一人一社制と応募の流れ
高校生が企業にアプローチする際は、学校を経由するのが基本です。生徒が個人で複数の企業に直接連絡を取り、比較検討しながら選考を進めるという、大学生的な就活スタイルは想定されていません。応募先を一社に絞ったうえで選考に進むため、そもそも「自社を知ってもらう」入り口の数自体が限られているのが実情です。
学校求人票が入り口になる
企業が高校生にアプローチする手段は、基本的に学校に求人票を送ることから始まります。求人票は無料で送付できるため、実際には数多くの求人票が各高校に届きます。しかしその多くは文字情報が中心で、待遇や職種といった項目が並ぶだけのものになりがちです。仕事内容や職場の雰囲気が伝わりにくい形式のまま、生徒の目に触れることになります。
先生が「紹介者」としての役割を担う
高校生は、個人情報を含めたやり取りを直接企業と行うことを制限されており、学校の先生が間に入る形が基本です。先生は生徒の学力や日頃の様子なども踏まえながら、どの求人を紹介するかを判断する立場にあります。企業側からすると、先生にどれだけ自社のことを知ってもらえているかが、生徒に紹介してもらえるかどうかを大きく左右します。
地元中心になりやすい就職先選び
高校生は、自分の通う学校に届いた求人票の中からしか基本的に選べません。そのため、地元から離れた地域の企業や、これまで縁のなかった業種にはなかなか出会いにくいという傾向があります。生徒の興味関心と、実際に紹介される求人の選択肢との間にギャップが生まれやすいのも、この仕組みならではの特徴です。
なぜ中小企業は学校とつながりにくいのか
高卒採用のルールを理解すると、中小企業が高校生との接点を持ちにくい理由も見えてきます。
学校の先生は、進学指導や部活動の顧問なども兼ねながら就職指導にあたっており、就職に割ける時間には限りがあります。多くの高校では進学が指導の中心になりやすく、就職のための時間を十分に確保しにくいという事情もあります。
また、先生自身が企業経営や現場の実務を必ずしも経験しているわけではないため、どの企業がどんな魅力を持っているのかを深く把握しきれないケースもあります。結果として、先生が生徒に紹介できる企業の幅が、これまで付き合いのある企業や知名度のある企業に偏りやすくなります。
中小企業からすれば、求人票を送るだけでは自社の魅力が正しく伝わらず、かといって先生一人ひとりと関係を築くには相応の時間と手間がかかります。これが、中小企業が高卒採用に踏み出しにくい大きな壁になっています。
中小企業が学校とつながるためにできること
こうしたルールの中で、中小企業が高校生との接点を増やしていくためには、いくつかの現実的なアプローチがあります。
- 求人票の内容を、働くイメージが伝わるものに作り込む
- 学校訪問や先生への挨拶を継続的に行う
- 職場見学の受け入れ体制を整える
- 高卒採用に強い外部の支援サービスやイベントを活用する
求人票は「働くイメージ」が伝わる内容にする
待遇や職種を並べるだけの求人票では、生徒はもちろん、紹介する先生自身も自社の魅力を実感しにくいものです。実際にどんな一日を過ごすのか、どんな人と一緒に働くのかといった情報を、できるだけ具体的に伝える工夫が求められます。
学校訪問・先生との関係づくりを継続する
一度求人票を送って終わりにするのではなく、学校を訪問して先生に直接自社のことを説明する機会を持つことが、紹介してもらえる可能性を高めます。継続的な接点づくりは手間がかかりますが、先生との信頼関係は一朝一夕には築けないものです。
職場見学の受け入れ体制を整える
高校生にとって、実際に職場を訪れて雰囲気を感じられる機会は貴重です。受け入れ体制を整え、生徒が安心して見学できる環境をつくることは、入社後のミスマッチを防ぐことにもつながります。
外部の高卒採用支援サービスを活用する選択肢もある
自社だけで学校訪問や求人票の作成、イベント出展まで手が回らないという場合には、高卒採用に特化した支援サービスやイベントを活用する方法もあります。求人票の作成から学校とのつなぎ役までを担ってもらえるサービスもあり、限られたリソースの中でも接点を増やす手段になり得ます。もちろん、すべてを外部に任せるのではなく、自社でできる部分は内製しながら、必要な部分だけ専門的な支援を借りるという組み合わせ方も選択肢のひとつです。どちらか一方が正解というわけではなく、自社のリソースや採用の緊急度に応じて選ぶのが現実的です。
まとめ
- 高卒採用には「一人一社制」をはじめ、大卒採用とは異なる独自のルールがあり、その背景には高校生を守るという考え方がある
- 高校生との接点は学校の先生を経由する仕組みが基本のため、求人票の内容と先生との関係づくりが採用の入り口を左右する
- 中小企業が学校とつながるには、求人票の作り込みや学校訪問の継続に加え、必要に応じて外部の高卒採用支援サービスを組み合わせる方法もある
高卒採用のルールは複雑に見えますが、仕組みを理解したうえで一つずつ接点を積み重ねていけば、中小企業にとっても着実な採用チャネルになり得ます。まずはお気軽に無料相談からご相談ください。
