高卒採用が難しくなった理由と中小企業の打ち手|求人倍率4倍時代の現実

COLUMN 採用支援

高卒求人倍率4.10倍という過去最高の数字の裏には、求職者の減少と参入企業の増加という構造があります。中小企業の高卒採用が難しくなった理由を整理し、学校訪問や強みの絞り込みなど現場でできる打ち手を解説します。

高卒採用が難しくなった理由と中小企業の打ち手|求人倍率4倍時代の現実

高卒採用の現場では「求人倍率が過去最高になった」というニュースが話題になっています。しかし、採用担当者の実感としては「以前より高卒採用が難しくなった」と感じている方が多いのではないでしょうか。実はこの2つは矛盾していません。倍率の数字の裏側を見ていくと、中小企業が高卒採用で苦戦する理由が見えてきます。

高卒求人倍率4.10倍は「売り手市場」の証拠ではない

厚生労働省の取りまとめ(令和7年3月末現在)によると、2025年3月に卒業した高校生の求人倍率は4.10倍(前年から0.12ポイント上昇)となり、過去最高と報じられました。1人の高校生に対して4社以上が手を挙げている状態です。数字だけ見ると、高卒採用に追い風が吹いているように感じます。

ただし、同じ取りまとめによると、このときの求人数は約49万9000人分。報道では、かつて167万人分あった時期と比べて3分の1以下に減ったと指摘されています。それにもかかわらず倍率が過去最高になっているのは、求人が増えたからではなく、応募する高校生自体が大きく減ったためです。同取りまとめの求職者数は約12万2000人で、報道によると、かつて50万人いた高卒の求職者が4分の1以下まで落ち込んだ状態だとされています。

教室に50人いた生徒が12人になり、先生の数は減ったけれど生徒の数がもっと減った、というイメージです。企業が高卒採用に殺到しているわけではなく、応募してくれる若者そのものが少なくなっている。これが「高卒採用が難しい」と感じる根本的な理由です。

高卒採用の「ライバル企業」も増えている

求職者が減っているだけでなく、高卒採用に取り組む企業側の数も増えています。ある研究機関の分析によると、高校卒採用を行う企業の数はこの15年でおよそ1.5倍に増えたとされています。特に工業高校に限ると、求人倍率は20倍程度にまで上がっているとの分析もあります。

この背景には、大学卒の採用をあきらめる中小企業が増えている動きがあるとされています。大手企業への応募が集中しやすく、中小企業が大卒向けの説明会を開いても人が集まりにくいため、大卒採用から高卒採用へシフトする企業が増えているという指摘です。つまり、高卒採用の市場には「求職者の減少」と「参入企業の増加」という2つの要因が同時に押し寄せており、中小企業にとって採用競争が一段と激しくなっているのです。

待遇改善の動きと、その限界

人手不足を背景に、待遇を改善する企業も出てきています。取材によると、大阪のあるダクト製造会社では直近3年で平均給与を15%引き上げ、未経験者でも初任給はおよそ30万円、ベテランになると年収800万円を超えることもあるといいます。休みを増やした上での給与アップだと担当者は話しています。

ただし、なぜ賃金が上がっているのかを見ておく必要があります。厚生労働省の令和6年版労働経済の分析によると、日本では人手不足の度合いを示す欠員率が1%上がると賃金は1.54%上がる一方、アメリカでは同じ条件で0.45%しか上がらないとされています。同分析では、日本企業は人手不足に「追い込まれて」賃金を上げている傾向が示されており、仕事の中身が評価されて賃金が上がっているわけではない、という見方ができます。

さらに厚生労働省の令和7年版労働経済の分析では、現場仕事を含む社会インフラ関連職の年間所得は平均436万円、事務職を含む非インフラ職は540万円とされ、その差は年間で約100万円、月にすると8万円以上にのぼります。初任給が高くても年齢が上がるにつれて給料の伸びが小さい、いわゆる賃金カーブの平坦さも指摘されており、入り口の待遇の良さがそのまま長期的な処遇の良さを意味するとは限らない点は、採用担当者としても押さえておきたいポイントです。

テクノロジーの進化という不確定要素

高卒採用を検討する際、もう一つ意識しておきたいのが技術の変化です。民間シンクタンクの分析によると、現在、大工や職人の仕事で自動化できる割合は1割未満とされる一方、事務職では6割を超えるとされています。この差があるからこそ「現場仕事は当面安全」と言われがちですが、体を持つAI・ロボット技術の開発は世界各国で進んでおり、将来的にこの前提が変わる可能性は否定できません。いつそれが起こるかは誰にも断言できない、という点も含めて中立的に捉える必要があります。

高卒採用が難しい時代に中小企業が今できる打ち手

求職者の減少や競合企業の増加という構造的な難しさがある中でも、中小企業が実際に取り組める打ち手はあります。

高校への訪問を必ず行う

採用の現場感覚として、求人票を郵送するだけでなく、実際に高校を訪問して先生と直接話すことの効果は大きいとされています。学校によって対応の温度差はあるものの、熱意を持って訪問すれば先生が話を聞いてくれるケースは多いといわれています。求人が解禁される時期には、まず訪問の予定を組むことが第一歩です。

自社の強みを1つに絞って伝える

先生に自社を印象づけるには、強みを欲張らず1つだけに絞ることが重要だとされています。「創業年数が長い」「安定している」といった当たり前の情報よりも、働き方や制度など、社員が実際に良いと感じている具体的な特徴を1つ選んで伝えることで、「あの会社といえばこれ」という印象を残しやすくなります。あれもこれもと伝えると、逆に何をしている会社か分からなくなってしまう点には注意が必要です。

待遇改善は長期的な視点で設計する

人手不足に追い込まれて給与を上げるだけでなく、キャリアの見通しや年収の伸び方まで含めて説明できると、応募者や学校側の安心材料になります。入り口の待遇の良さだけでなく、その後どう成長できるのかを合わせて伝える姿勢が、他社との差別化につながります。

まとめ

高卒採用が難しくなった背景には、求人倍率の数字だけでは見えない構造があります。

高卒採用は一律の正解があるわけではなく、自社の状況に合わせて学校訪問や強みの整理、待遇設計を組み合わせていくことが求められます。まずはお気軽に無料相談からご相談ください。

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