採用動画を作りたいけれど、高い機材が必要そうだし、編集も難しそう——そう思って手を出せずにいる採用担当者は少なくありません。実際のところ、スマホと無料の編集アプリがあれば1分の会社紹介動画は作れます。本記事では内製の手順を追いながら、機材にお金をかける前に押さえておきたいポイントを整理します。
採用動画に「映画のようなクオリティ」は要らない
前提として、クオリティの高い動画が候補者にプラスに働くのは事実です。ただ、それが採用動画に必須かというと違います。
候補者が会社について知りたいのは、どういうところで働くのか、何をするのか、誰と働くのか。この3つを手軽に知れることの優先順位が高いからです。映画のような映像や、結婚式のオープニングのような演出で「なんとなくすごそうな会社」という印象を残すより、映像としては凝っていなくても必要な情報がきちんと入っている動画のほうが、採用では機能します。
裏を返せば、作り込みを言い訳にして1本も出さないのがいちばん機会損失が大きい、ということでもあります。
画質より大事なのは「音」と「ブレ」
とはいえ、何も気にせず撮ると「素人が作ったな」という印象になり、かえって企業イメージを下げかねません。ここで優先すべきは画質ではありません。音質と手ブレです。
画質は一定の水準を超えれば、視聴者はストレスなく見られます。それ以上を厳密に追う必要はありません。一方で音とブレは、水準を下回ると視聴者に直接ストレスを与え、離脱につながります。
- 音質:スマホのマイクは性能が上がっていますが、どうしても広範囲の音を拾います。話し手の声だけを録りたくても、通行人の声や遠くのバイクの音まで入ってしまう。ワイヤレスマイクをスマホに接続するだけで音声はクリアになり、動画の印象が一段変わります
- 手ブレ:スマホの手ブレ補正も進化していますが、手持ちだとまだ違和感が残ります。ここは三脚で固定してしまうのがいちばん確実です
つまり最低限の装備は、スマホ・三脚・マイクの3点です。会社説明のように座って話す動画であれば、これで十分に成立します。ワイヤレスマイクはType-C接続のものが比較的安価に手に入りますし、三脚も卓上の小型なもので構いません。
スマホ用のジンバルが必要になるのは、その次の段階です。屋外を移動する社員に付いていく映像や1日密着のように、動きが多くて三脚が使えない撮影で効いてきます。撮るものが増えてから買い足せば間に合います。
一眼カメラも同じで、最初から用意する必要はありません。予算がかかるうえに機能も多く、最初のハードルが高くなります。
なお撮影設定は、初期状態からほとんど変える必要がありません。確認したいのはフレームレートと解像度の2つで、会社紹介であれば30fpsで十分です。スローモーションを使う場面はまずありません。
撮る前に「1分の中身」を6つに割る
いきなり撮り始めると、何を話せばいいかわからなくなります。先に構成を決めます。
1分の会社説明であれば、次の6つに絞ると収まります。
- 会社紹介
- 仕事内容
- 自社の強み
- 働く魅力
- 募集要項
- 応募方法
この構成表があれば、台本を暗記する必要はありません。パソコンに原稿を表示しておき、1シーンずつ確認しながら撮れば済みます。確認してからカメラを見て、1秒置いてから話し始めるのがコツです。この間があると、あとでつないだときに違和感が出ません。
話し手だけが映り続けると単調になるので、パソコンで作業しているシーンなど、差し込み用の映像も一緒に撮っておきます。これも構成表の段階で決めておくと撮り漏れが防げます。
撮影で押さえる5つのこと
現場で失敗しやすいポイントは、だいたい決まっています。
- 引き目で撮る
- 明るさは気持ち暗めにする
- 話すシーンは一箇所で撮り切る
- 音はその場で確認する
- 出演者のテンションを引き上げる
引き目で撮る
画角が決まったら、そこから少しだけ下がって広めに撮ります。引いて撮っておけば編集で寄れますが、寄って撮ると引けません。傾きや前後左右の微調整も、余白があるほうが効きます。中心さえずれていなければ大きな破綻は起きません。
明るさは気持ち暗めにする
肉眼で見たとおりの明るさに合わせたくなりますが、思ったより明るく写ることがあります。白飛びした映像を編集で戻すのは難しく、無理に戻すと画質が落ちる。暗いものを明るくするほうが編集はやりやすいので、少し暗めに撮っておくのが安全です。スマホなら画面をタップして露出を少し下げるだけで足ります。
話すシーンは一箇所で撮り切る
場所を何度も変えると、それだけでハードルが上がります。メインで話すシーンは一箇所に座って一気に撮り切り、別アングルの映像はあとから差し込む。この順番のほうが撮影は速く終わります。
音はその場で確認する
撮影がすべて終わってから「音声が録れていなかった」と気づくと、撮り直しになります。労力も、出演者の時間も無駄になる。数カットごとに再生して、音が入っているかを確かめる習慣をつけます。外部マイクを使う場合は、録りながらイヤホンで確認できるとより確実です。
出演者のテンションを引き上げる
カメラが回ると、声が小さくなったりテンションが下がったりする人は多いものです。撮影前に動画の目的と話す内容を伝えたうえで、「気持ち1.5倍ぐらいのテンションでお願いします」と一声かけておく。撮る側が明るく誘導しないと、全員が小声で喋る暗い動画になります。複数人で話す場合は、声を被せず一人ずつ話してもらうことも先に伝えておきます。被ると、テロップを出しづらく、見る側のストレスにもなります。
編集はカット・テロップ・BGMの順で
編集の流れはシンプルです。撮った素材を並べ、不要な部分をカットし、テロップを入れ、最後にBGMを乗せる。無料アプリでもここまでできます。
テロップを手打ちすると時間を取られますが、音声から自動で文字起こしする機能を使えば一括で入ります。BGMも無料の範囲で種類は揃っていて、こだわりたい場合にフリー音源や商用向けのライブラリを検討すれば十分です。
時間の目安も出しておきます。撮影は20分ほど。編集は、慣れた人がストップウォッチで計って2時間近くかかりました。想定よりだいぶ延びた要因は、主にテロップの調整です。自動文字起こしを使っても細かい修正は残りますし、間の取り方にこだわり出すとその分だけ時間は伸びます。初めて作るなら2時間ほど見ておくと余裕を持って進められます。
まとめ
採用動画の内製について整理しました。
- 候補者が知りたいのは「どこで働くか」「何をするか」「誰と働くか」。演出の完成度より、必要な情報が入っているかで決まる
- 機材にお金をかけるなら画質より先に音とブレ。座って話す動画ならスマホ・三脚・マイクの3点で足り、ジンバルは動きのある撮影を始めてからでよい
- 1分の構成を6つに割り、引き目・暗め・音の確認を守れば1本仕上がる。撮影20分に対し編集は慣れた人でも2時間近くかかるため、初回は余裕を持って見積もる
自社で撮るか、企画だけ外に出すか、制作から任せるか——体制に合わせた進め方から一緒に整理することもできます。まずはお気軽に無料相談からご相談ください。
