「採用したいのに、社内に採用担当がいない」——中小企業の経営者からよく聞く悩みです。求人を出しても応募が来ない、来ても辞退される、そもそも何から手をつければいいか分からない。こうした状態の裏には、たいてい同じ構造があります。採用担当という専任のポジションが社内に存在しないまま、片手間で採用業務が回されているのです。この記事では、採用担当がいない中小企業がどうやって採用を回していけばよいか、兼任でも成立する体制のつくり方を整理します。
中小企業の採用でよくあるつまずき
採用がうまくいかない中小企業では、次のようなパターンがよく見られます。
- ハローワークに掲載してみるだけで終わっている
- 選考は進んだのに内定辞退されてしまう
- 求人媒体に出稿したものの応募が集まらない、採用につながらない
- そもそも何をすればいいのか分からないまま手が止まっている
とりあえず掲載・とりあえず出稿の限界
もっとも多いのが、ハローワークや求人媒体に「とりあえず掲載してみる」というパターンです。掲載すること自体は簡単にできますが、ターゲットに合った訴求や条件設計がないまま出すと、応募が来ない、来ても定着しないという結果になりがちです。
内定辞退・早期離職という出口の問題
入口(募集)だけでなく出口(定着)にも課題があります。せっかく選考が進んでも内定辞退されてしまう、あるいは入社してもすぐに辞めてしまうというケースです。採用は「応募を集めて終わり」ではなく、内定から入社後の定着までを見据えて設計する必要があります。
なぜ今、採用担当不在が致命的になっているのか
以前は、地方の中小企業ほど、社員やその知人のつながりで採用が回っていたケースが少なくありませんでした。人づての紹介で人が集まる時代があったのです。しかし、採用を取り巻く環境は大きく変わりました。
労働市場は、企業が求職者を選ぶ側だった時代から、求職者が企業を選ぶ側へと立場が入れ替わりつつあります。あわせて、退職代行を使って会社を辞める人が増えるなど、早期離職はより身近なリスクになっています。さらに、AIの普及やSNSの浸透によって、求職者が得られる情報の量も質も以前とは比べものにならないほど増えました。
こうした変化の結果、これまで「つながり」や「とりあえずの掲載」で成立していた採用のやり方が、通用しにくくなっています。昔ながらのやり方を続けたまま採用担当も置かないというのは、変化した市場に何の備えもしていない状態に近いといえます。
採用担当不在が生む2つの欠落:ノウハウとリソース
「採用したい」という意欲は経営者にあっても、それを実行する専任の担当者が社内にいない——これが中小企業の採用がうまくいかない根本にある課題です。この状態を分解すると、欠けているものは大きく2つに整理できます。
- 採用のノウハウがない(何から手をつければいいか分からない)
- 採用に割けるリソース・工数がない(他業務と兼務で手が回らない)
ノウハウ不足:何をすればいいか分からない
専任担当がいない会社では、求人媒体の選び方、訴求の作り方、選考フローの設計など、採用の基本的な進め方そのものが社内に蓄積されていません。何から手をつければいいか分からないまま、思いつきで打ち手を続けてしまうことが、応募が集まらない最大の原因になっています。
リソース不足:手が回らない
営業や現場の業務と兼務している場合、採用にかけられる時間はどうしても後回しになります。求人票の見直しや応募者対応が滞り、せっかくの応募を取りこぼしてしまうケースも起こりえます。
兼任でも成立する採用体制のつくり方
採用担当を新たに1人専任で置くのが難しい会社でも、体制の組み方次第で採用は回せます。ポイントは次の4つです。
- やることを絞り込み、工数を最小化する
- 採用業務を複数人で役割分担する
- 型化・仕組み化してノウハウ不足を補う
- 一部の業務だけ外部パートナーに伴走してもらう
やることを絞り込む
兼任体制がうまくいかない会社の多くは、あれもこれもと手を広げすぎています。まずは自社に合う求人媒体やSNSなど、力を入れるチャネルを絞り、そこに工数を集中させることが現実的な出発点です。
一人で背負わず役割分担する
採用は必ずしも一人が丸ごと背負うものではありません。募集文の作成、応募者対応、面接調整といった工数を、経営者・現場責任者・事務担当などで分担すれば、専任がいなくても回せる体制がつくれます。
型化・仕組み化でノウハウ不足を補う
募集文のテンプレート、選考フローのチェックリストなど、一度型をつくってしまえば、担当が変わっても同じ質で採用業務を回せます。属人化を避けることは、兼任体制を長く続けるうえで欠かせません。
一部を外部パートナーに任せる
すべてを社内でやろうとせず、ノウハウが不足している部分だけ外部の知見を借りるという選択肢も現実的です。自社で採用活動をしながら専門家に伴走してもらう形もあれば、募集から選考運営までまとめて任せる形もあり、自社の状況に応じて使い分けることができます。
内製・伴走・代行、どれを選ぶべきか
外部に頼る場合の関わり方は、大きく3つに整理できます。
| 選択肢 | 向いている会社 |
|---|---|
| 内製(自社ですべて対応) | 採用に割ける人手と時間が確保できている会社 |
| 自社対応+プロの伴走 | ノウハウは借りたいが、実行は自社でやりたい会社 |
| 採用業務のフル委託(採用代行) | 採用に割ける人手そのものが社内にない会社 |
どれか一つが唯一の正解というわけではありません。採用業務を外部にアウトソースするという選択肢自体は、当たり前のものとして広がりつつある傾向にあります。大事なのは、自社にノウハウとリソースのどちらが、どれくらい足りていないかを見極めたうえで、どこまでを社内で担い、どこから外部に任せるかを決めることです。
まとめ
- 採用担当不在の中小企業がつまずくのは、ノウハウとリソースという2つが社内に欠けているからです
- 兼任体制でも、やることを絞り込む・役割分担する・型化するという工夫で採用は回せます
- 足りない部分だけを外部パートナーに任せるという選択肢も、内製・伴走・フル委託を比較しながら検討する価値があります
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