「商品にも自信があるし、社員も良い人ばかり。それなのに求人媒体を出しても人材紹介を使っても、応募がまったく来ない」——そんな悩みを抱える中小メーカーや製造業の経営者は少なくありません。実はその背景には、情報発信ゼロという共通点が隠れていることがあります。この記事では、いきなり大きな仕組みを作らなくても始められる、採用のための情報発信の第一歩を紹介します。
いい会社なのに応募が来ない、本当の理由
採用ブランディングに詳しい専門家の解説では、近年は大手企業が新卒・中途ともに採用人数を増やしており、求職者からすると「小さな会社をわざわざ探さなくても内定が取れる」状況になっているといわれています。つまり、どれだけ良い会社であっても、求職者の選択肢に入っていなければ検討すらされないというスパイラルが起きているのです。
さらに求人媒体には、もう一つの限界があります。求人媒体は基本的に「その仕事を検索した人」にしか届きません。
動画制作の現場に携わる担当者への取材では、船で貨物を運ぶ仕事や運送業のように、日常生活では仕事の内容をイメージする機会が少ない業種ほど、そもそも求人票の文字だけでは何をする仕事かが伝わらず、検索の選択肢にも上がらないという声が紹介されています。良い会社なのに応募が来ないのは、能力や条件の問題ではなく、そもそも「知られていない」ことが原因になっている場合があるのです。
情報発信ゼロが採用に与えている影響
求職者、特に若い世代は、求人票の情報だけで応募を決めるのではなく、応募前に企業のSNSを見て雰囲気や働く人の様子を確認する行動が一般的になっているといわれています。情報発信をしていない会社は、この「確認」の機会を持てないままになってしまいます。
また、文字情報だけで会社を伝えようとすると、給与・休日・残業時間といった条件面での比較になりやすく、中小企業はどうしても大手企業に見劣りしてしまいます。逆に、動画や写真で職場の雰囲気ややりがいを見せられれば、条件以外の魅力で選んでもらえる可能性が広がります。
情報が少ないまま入社してしまうと、「思っていた仕事と違った」というミスマッチによる早期離職にもつながりやすくなります。ある採用SNS支援会社の解説では、早期離職によって生じる教育費用や給与などのコストが、半年で200万円を超える赤字になるケースもあるとされており、採用活動費そのものより、こうした早期離職のコストの方が経営への影響が大きいこともあると指摘されています。
情報発信を始めると採用の土台がどう変わるか
情報発信をゼロから始めることで、採用活動には次のような変化が期待できます。
- 求人媒体だけでは出会えなかった層にアプローチできる
- 条件面以外の魅力で選んでもらえる
- 入社後のミスマッチを減らせる
求人媒体だけでは出会えなかった層にアプローチできる
求人媒体は「調べに来た人」にしか届かない、いわば待ちの採用です。一方でSNSの動画は、興味を持っていない人にも自然に表示されるため、こちらから知ってもらうきっかけを作れるといわれています。動画制作の現場に携わる担当者への取材では、運送業や中古パーツ販売業など、普段仕事の様子を知る機会が少ない業種ほど、動画で仕事内容を見せたことで問い合わせが増えた例が紹介されていますが、取材を受けた本人も「異常値」だと話しており、すべての企業で同じ結果になるとは限らない点には注意が必要です。
また、ある採用SNS支援会社の解説では、求人広告に100万円以上の費用をかけても応募がなかった企業が、発信を始めて運用2か月目に応募が届いた例や、国家資格が必要な難易度の高い職種でも月3件の採用が決まった例が紹介されています。
条件面以外の魅力で選んでもらえる
文字だけの求人票では、給与や休日といった定量的な条件で比較されがちです。動画や写真であれば、働く人の表情や現場の雰囲気、なぜこの会社で働いているのかといった、条件表には書けない情報を伝えられるといわれています。中小企業にとっては、条件だけの比較から一歩抜け出せる手段になり得ます。
入社後のミスマッチを減らせる
情報発信は「会う人に魅力を伝える」だけでなく、「会わない人には事前に伝わる」役割も持っています。社風や仕事のリアルを事前に見せておくことで、入社後の「思っていたのと違った」を減らし、早期離職を防ぐ効果も期待できるとされています。
完璧を目指さなくていい、情報発信のベイビーステップ
情報発信は、いきなり完成度の高いコンテンツを目指す必要はありません。まずは以下のような小さな一歩から始めてみましょう。
- 自社の強みを一つだけ書き出してみる
- 現場の日常をスマホで1枚・1本撮ってみる
- 無料のSNSアカウントでこつこつ投稿を始めてみる
- 反応やフォロワー数より「続けられるか」を優先する
自社の強みを一つだけ書き出してみる
採用ブランディングの専門家は、強みは自分たちが当たり前だと思っていることの中に隠れていることが多いと指摘しています。他社のバズった投稿をそのまま真似ても、その会社にとっての必然性がなければ再現性はなく、たとえ一時的に話題になっても採用のミスマッチにつながりかねません。まずは自社にしかない強みを言葉にすることが、発信の出発点になります。
現場の日常をスマホで1枚・1本撮ってみる
特別な機材や凝った企画は必要ありません。普段の作業風景や社員の様子をスマホで撮るだけでも、求人票だけでは伝わらない情報になります。日常的に仕事の様子を目にする機会が少ない業種ほど、こうした発信の効果を感じやすい傾向があるといわれています。
無料のSNSアカウントでこつこつ投稿を始めてみる
SNS採用で誤解されやすいのが「バズらせなければ意味がない」という考え方です。しかし採用のSNSは、すでに興味を持っている人に向けたブランド想起のためのものであり、話題性を狙って目立とうとする必要はないという指摘もあります。無理に再生数を狙うより、無料でできる範囲でこつこつ投稿を続けることの方が重要だとされています。
反応やフォロワー数より「続けられるか」を優先する
情報発信は積み上げ型の取り組みです。ある採用SNS支援会社の解説では、初めての応募が来るまでに2〜3か月ほどかかることも多いとされています。すぐに結果が出なくても焦らず、半年後・1年後の採用を楽にするための取り組みだと捉えることが大切です。
情報発信の進め方は複数の選択肢がある
情報発信の進め方には、いくつかの選択肢があります。
- 内製(自社で撮影・投稿する)
- 自社撮影×プロの伴走支援
- 撮影から投稿まわりを任せるフル代行
内製
手軽に始められる一方、ノウハウの蓄積と時間の確保が必要です。ある採用SNS支援会社の解説では、自社運用の場合、月60時間程度の作業時間が発生することもあるとされています。まずは無理のない範囲で始めてみるのが現実的です。
自社撮影×プロの伴走支援
撮影自体は社内で行いつつ、企画や見せ方についてプロの助言を受ける形です。社内のリソースを活かしながら、専門的な視点を取り入れられるのが特徴です。
フル代行
企画・撮影・編集・投稿までを任せられるため、社内の負担は軽くなります。ただし、自社らしさがどこまで反映されるかは事前によく確認しておく必要があります。
なお、情報発信には既存の採用活動の効果を高める役割も期待できるといわれています。求人媒体や人材紹介と組み合わせることで、応募率や内定承諾率の向上、早期離職の防止につながる場合があるとの指摘もあり、情報発信だけを単独の採用手法として見るのではなく、他の手法と組み合わせて考えることが大切です。
また、SNSでの情報発信は誰にでも万能な手段ではないという指摘もあります。ある採用SNS支援会社の解説では、年間1〜2名の欠員補充だけを目的とする場合や、管理職・高度専門人材のようなハイクラス層の採用を目指す場合は、他の採用手法の方が適していることもあるとされています。自社の採用課題に合わせて、無理のない範囲で取り入れることが大切です。
まとめ
- 情報発信ゼロは、良い会社であっても求職者の候補にすら入れない状態を生んでしまうことがあります。
- 情報発信は完璧を目指す必要はなく、強みを一つ書き出す・現場を1枚撮るといった小さな一歩から積み重ねていくものです。
- 進め方は内製・伴走支援・フル代行と選択肢があり、自社の状況に合った形を選ぶことが、応募が来ない状況を変える土台になります。
情報発信は始めてすぐに結果が出るものではありませんが、続けるほど採用活動全体の土台を強くしてくれます。まずはお気軽に無料相談からご相談ください。
