採用のためにInstagramを運用しているのに、投稿してもフォロワーが増えない、リールの再生数が伸びない——そんな悩みを持つ採用担当者は少なくありません。実はここには、Instagramのアルゴリズムそのものの変化が関係しています。今回は「アルゴリズムが何を見ているのか」という仕組みの部分から、採用アカウントの届け方を整理します。
Instagramのアルゴリズムがそもそも何を見ているのか
Instagramは「大切な人や大好きなことをつなげる」ことを目的として運営されています。運営はユーザー一人ひとりがどんな投稿に反応しているかを常に見ていて、いいねや保存、コメントといったアクションを手がかりに「この人はこういう投稿が好きだろう」と判断し、おすすめの投稿を選んでいます。つまりアルゴリズムは投稿の見た目や更新頻度だけを評価しているのではなく、見た人が実際に反応したかどうかを積み重ねて学習する仕組みです。採用目的でアカウントを運用する場合も、この土台を理解しておくことが欠かせません。
「お役立ち情報」だけのリールが伸びにくくなっている
これまでインスタ運用では、業界の知識やノウハウを短くまとめた情報発信型のリールが定番の伸ばし方でした。しかし近年のアルゴリズムアップデート以降、こうした情報発信型のリールは再生数が伸びにくくなる傾向が出ています。
背景にあるのは生成AIの普及です。知りたいことがあればAIに質問すればある程度の回答が得られる時代になり、SNSでちょっとした知識を仕入れる必要性そのものが薄れています。書店で辞書を買う人がインターネットの普及とともに減っていったのと同じ流れが、SNSの情報発信にも起き始めていると考えられます。有益な情報を発信していればフォロワーが増えるという前提が崩れつつあることは、採用担当者としても知っておく必要があります。
採用アカウントが伸ばすべきなのは「仕事哲学」の発信
情報の価値が相対的に下がっている中で重視すべきなのが、業務の奥にある判断基準を言葉にして発信することです。これを私たちは「仕事哲学」と呼んでいます。
日々の業務には、なぜそのやり方を選んでいるのかという理由が必ずあります。表面的な作業内容だけを紹介するのではなく、「なぜそれをやっているのか」を一段掘り下げて言葉にすることで、他社にはない価値観が見えてきます。これはAIに質問しても得られない、その会社にしかない情報です。採用の文脈で言えば、この価値観こそが「ここで働いてみたい」と思ってもらう最大の材料になります。
哲学を言葉にするための具体的な問いかけとして、次の5つを使うと整理しやすくなります。
- どんな業務をしているか
- その中で他社と少し違うやり方をしていないか
- なぜわざわざそのやり方を選んでいるのか
- それを貫くために何を諦めているか
- その判断によって周囲からどう言われ、どんな良いことが起きたか
どんな業務をしているかを書き出す
まずは自分たちの業務を一つずつ書き出します。同じ「営業」でも紹介経由なのかウェブ経由なのかで中身は変わりますし、細分化するほど発信できるテーマの数は増えていきます。ネタ切れを心配する声もありますが、業務を細かく分解していけば題材は尽きません。
他社と違う点を探す
次に、その業務の中で他社と少し違うことをしていないかを考えます。大きな違いである必要はなく、「これって普通なのかな」と引っかかる程度でも構いません。
なぜわざわざそれをやっているのかを深掘る
ここが最も重要な工程です。「なぜ」を繰り返し問いかけることで、単なる作業の説明が判断基準の説明に変わっていきます。この深掘りができているかどうかが、発信の伝わり方を大きく左右します。
何を諦めているかを言葉にする
こだわりには必ずトレードオフがあります。何かを大事にする代わりに何を犠牲にしているのかを明確にすると、判断基準の説得力が増します。
結果として何が起きたかを添える
最後に、その判断基準を貫いた結果、周囲からどう評価されたか、どんな良い変化があったかを添えます。ここまで言葉にできると、そのままリールの台本の骨組みになります。
ネガティブに見える情報も、伝え方次第でむしろ信頼につながります。良い面だけを並べた発信よりも、うまくいかない部分やあえて選んでいない選択肢まで正直に見せる発信の方が、見る人との心理的な距離を縮めやすい傾向があります。
フィード・リール・ストーリーで見られているポイントは違う
Instagramは投稿の形式によって評価する指標が異なります。運用を始める前に、それぞれの投稿タイプで何が重視されているかを押さえておくと、無駄な試行錯誤を減らせます。
- フィード投稿は既存フォロワーの反応が起点になる
- リールは視聴の完了度合いとエンゲージメントが重視される
- ストーリーは日頃のやり取りの深さが表示順位に影響する
フィード投稿は既存フォロワーの反応が起点になる
フィード投稿は基本的に既存フォロワーに表示され、そこでいいねや保存、コメントがどれだけ集まるかによって、より多くの人におすすめされるかどうかが決まります。投稿してすぐに反応が集まるほど良い評価につながりやすいため、保存したくなる一言を添えたり、フォロワーが投稿を見に来やすいタイミングを意識したりすることが有効です。
リールは視聴の完了度合いとエンゲージメントが重視される
リールでは、最後まで見てもらえたか、途中で離脱されずに見続けてもらえたか、いいねやコメント・タップなどの反応があったかが評価されます。画面いっぱいに映る縦型(9:16)で作ることは基本ですが、忘れられがちなポイントでもあります。横向きで撮った映像をそのまま使ってしまうと画面に余白ができてしまい、視聴体験としても評価としても不利になります。
ストーリーは日頃のやり取りの深さが表示順位に影響する
ストーリーは、日頃からやり取りのある相手や、評価の高いアカウントのものが優先的に表示される仕組みです。フォロワーのストーリーに自分から反応する、いいねやDMを集めやすい問いかけを投稿に入れるといった積み重ねが、表示順位に影響していきます。
採用のために意識したい運用の姿勢
アルゴリズムの仕組みを理解した上で、採用アカウントとして意識したいのが発信の主体と発信の割合です。
顔出しをせず従業員任せで運用してきたアカウントも少なくありませんが、経営者や意思決定者自身が発信に出た方が、採用面でも他の効果面でも有利に働きやすい傾向があります。恥ずかしさから避けたくなる気持ちは理解できますが、価値観を語れるのは基本的に意思決定者自身であるという点は意識しておく価値があります。
発信全体の構成としては、日頃は仕事哲学を軸にした発信を中心にしながら、フォロワーとの信頼関係ができてきたタイミングで、採用募集そのものをストレートに伝える投稿を織り交ぜる進め方が有効です。普段から価値観に共感して見てくれている人に向けた訴求になるため、凝った見せ方をしなくても反応が得やすくなります。
SNS運用は、すべてを内製するか、丸ごと代行に任せるかの二択ではありません。自社で撮影しながらプロの伴走を受ける形も含め、体制やリソースに合わせて選べる選択肢はいくつかあります。どの形を選ぶにしても、アルゴリズムが見ているのは結局「見た人が反応したかどうか」であり、その土台となるのは発信する側の判断基準がどれだけ言葉になっているかという点です。
まとめ
- Instagramのアルゴリズムは、いいねや保存などのユーザーの反応を手がかりに、見たい人に見たい投稿を届ける仕組みで動いています
- 情報発信型のリールが伸びにくくなっている一方、業務の奥にある判断基準を言葉にした「仕事哲学」型の発信は採用にもつながりやすい傾向があります
- フィード・リール・ストーリーはそれぞれ評価される指標が異なるため、投稿タイプごとの特性を理解した上で運用することが重要です
自社の採用SNS運用に不安がある場合は、まずはお気軽に無料相談からご相談ください。
