介護の採用で発信を1年続けた会社に起きたこと|業界イメージの壁をどう越えるか

COLUMN SNSマーケティング

採用の発信で最初に変わるのは応募数とは限りません。重度訪問介護の会社が1年続けた事例では、面接に来る人の状態のほうが先に変わりました。何が効き、続けるうえで何が大変だったのかを整理します。

介護の採用で発信を1年続けた会社に起きたこと|業界イメージの壁をどう越えるか

採用の発信を始めると、まず応募数を見たくなります。しかし、ある採用支援会社が公開したクライアント企業へのインタビューを見ると、重度訪問介護の会社が1年続けて最初に現れた変化は応募数ではありませんでした。面接に座る人の状態のほうが先に変わったのです。この事例から、発信が実際どこに効いたのか、そして続けるうえで何が大変だったのかを見ていきます。

「業界そのものが知られていない」という前提

この会社が発信を始めた理由は、認知の獲得でした。ただし対象は自社だけではありません。

重度訪問介護という言葉自体を知らない人が世の中にたくさんいる。高齢者介護とは違い、障害のある方を主な対象として、食事の準備や入浴など、生活の支援に寄り添う仕事です。仕事の存在そのものが知られていなければ、応募先の候補にすら入りません。

会社の認知を取ることと、業界のイメージを変えること。この2つを同時に進めたい、というのが出発点でした。加えて自社に20代・30代の社員が多く、動画と相性がよさそうだという読みもあったといいます。

多くの中小企業に共通する、知られていないから応募が来ないという構造に、業界の認知という一段深い課題が重なっているわけです。介護に限らず、専門性が高く外から仕事内容が想像しにくい業種では同じことが起きます。

応募が増えるより先に、面接の質が変わった

1年続けた効果として最初に挙げられたのは、応募数ではありませんでした。

以下はいずれも会社側が語った実感値です。発信経由の連絡は月に1〜2名ほど、1年を通して採用につながったケースも何名かあったといいます。ここだけ見ると爆発的な数字ではありません。むしろ変化がはっきり出たのは、応募から面接までの間でした。

応募をもらったあと、面接までに参考として動画を送る運用にしたところ、面接に来る人のほぼ全員が「YouTube見ました」と口にするようになったといいます。面接の実施率も、送る前と比べて5%ほど上がったそうです。

さらに面接の場で「動画見ました、ぜひ働きたいです」と言われることが増えました。他社から複数のオファーを受けていた人が、この会社を選んだケースもあったといいます。

つまり効果は「応募を増やす」よりも、来てくれた人が辞退せず、志望度を上げた状態で面接に座るという形で表れました。応募数を増やさなくても、途中の離脱が減れば採用単価は下がります。母集団形成だけを目的に置くと、この効果は見落とされます。

文字では超えられなかった壁

なぜ動画だとイメージが変わるのか。担当者の言葉が的確でした。ホームページやランディングページ、求人媒体だけでは、会社の魅力も実際の業務も雰囲気も伝えきれない部分がどうしても残る、と。

具体的に効いたのは次のような点です。

年齢についても想定外の反応がありました。若いスタッフが出演していたことで、40代・50代の応募者から「こんな素晴らしい会社があるんだ」という声が出たといいます。若手向けに作ったものが、上の世代にも届いた形です。

大変だったのは撮影ではなく「調整」

1年続けるうえで何が大変だったかという問いへの答えは、撮影でも編集でもありませんでした。日程調整とキャスティングです。

訪問介護は、社員がオフィスに集まる業態ではありません。それぞれが別の現場で仕事をしているため、誰にいつ出てもらうかを合わせるだけで調整が複雑になります。事業所に人が集まる会社なら、もう少しやりやすかったのかもしれない、という振り返りでした。

ただし当人は最後に「そこまで大変っていう感覚はあんまりなかったかもしれない」とも振り返っています。段取りを相談できる相手がいたためで、裏を返せば、そこを自社だけで抱えると負担が大きくなるということです。これから始める会社にとっては、実務上いちばん現実的な論点になります。撮影機材や編集技術より先に、「誰に出てもらい、いつ撮るか」を回せる体制があるかどうかを確認しておいたほうがいい、ということです。

なお、この会社は自社で進める案も検討したうえで、外部に依頼する選択をしています。理由は、動画の分析や運用のノウハウを持つ人が社内にいなかったから。立ち上げはプロに任せて伴走してもらい、企画と段取りを任せる代わりに、出演と最終確認、そして社内の日程調整は自社で担う——この分担で回していました。もちろん内製で始める会社もありますし、スマホ1台でも採用動画は作れます。社内のリソースと、続けられる体制から選ぶのが現実的です。

採用以外に効いた部分

想定していなかった効果も出ています。

採用のために始めた発信に対して、サービスの利用を検討している方から直接の依頼が入ったり、相談員から「見ました」と連絡が来たりするようになりました。採用と広報の境目が曖昧になった形です。

社内向けの効果もありました。出演した社員が、発信する側としての意識を持つようになったことです。

ただしこれらは他の施策とも組み合わさっており、発信だけの効果として実数値で切り出せるものではありません。個々の費用対効果で判断しにくい種類の変化だ、という点は踏まえておく必要があります。

まとめ

介護の採用と発信について整理しました。

自社の仕事がどこまで外から見えているのか、現状の整理から一緒に考えることもできます。まずはお気軽に無料相談からご相談ください。

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