「うちは特殊な仕事だから、求人を出しても人が来ない」——ニッチな業界や地方の会社から、よく聞く声です。そして「SNSをやる意味なんてあるのか」と続きます。ところが実際は逆で、日常で目にしない仕事こそ、SNSで見せると強く反応が返ってきます。 なぜそうなるのかを整理します。
「応募が来ない」の前に「選択肢に入っていない」
まず、問題の切り分けが必要です。ニッチな仕事で応募が来ないのは、その仕事に魅力がないからではありません。そもそも選択肢として認識されていないからです。
考えてみると当然で、日常で目にしない仕事は、求職者の頭の中に「職業の候補」として存在しません。存在しないものは選べない。だから求人票を出しても、そもそも探している人がいない、という状態になります。
これは「知名度が低い会社」の問題とは少し違います。会社名を知られていないのではなく、その仕事の存在自体が知られていない。 一段深いところでつまずいているわけです。
だとすれば、打ち手も変わります。求人票を改善する前に、「こういう仕事があるんですよ」と存在を知らせるところから始める必要があります。そして存在を知らせるのに、いまいちばん向いているのがSNSです。
求人票の文字では、仕事が伝わらない
ニッチな仕事には、求人票と相性の悪い共通点があります。文字で説明されても、何をする仕事か想像できないのです。
たとえば、石や砂利を船で運ぶ海運の仕事。求人票に業務内容を書き並べても、経験者ならともかく、未経験の人にはまず伝わりません。船の中がどうなっているのか、どういう生活リズムなのか、休みはどう取るのか——文字を追っても像が結ばないのです。
ここで動画が効きます。同じ情報でも、文字と映像では伝わる量も、理解の深さもまったく違います。 船の中を映す、働いている様子を見せる、休みの仕組みを説明する。それだけで「こういう仕事なのか」と分かってもらえます。分かって初めて、興味を持ってもらえる段階に進めます。
見せるべきは「働き方のリアル」
動画で見せるといっても、何を映すかで伝わり方が変わります。ニッチな仕事で求職者がいちばん知りたいのは、その仕事の日常がどうなっているかです。
先の海運の例なら、船の中がどうなっているのか、3週間の勤務と1週間の休みがどう回っているのか。寝る場所や食事、電波は届くのかといった生活面も、気になるところでしょう。こうした「文字だと想像もつかない部分」こそ、映像にすると一気に伝わります。求職者は、条件の良し悪し以前に「自分がそこで生活できるか」を気にしています。そこに答える映像があると、はじめて現実の選択肢として検討してもらえます。
実際、「知らないだけ」の人はたくさんいる
ここで多くの経営者が疑うのが、「そんな特殊な仕事に、本当に人が集まるのか」という点です。
同業の採用支援会社が、支援先として紹介している海運会社の事例があります。石や砂利を船で運ぶ、乗組員・船員の採用です。求人票を出しても応募が来ない状態からSNS発信に切り替えたところ、始めて2か月ほどで投稿した採用動画が160万回ほど再生され、1本の動画にコメントやDMが90件ほど寄せられたそうです。ダンスやドッキリのような企画ものではなく、あくまで採用の動画です。それでいて、これだけの反応です。船に乗れる人数には限りがあるため全員は採用できませんでしたが、その中から数名の採用につながったといいます。
この事例が示しているのは、「知られてさえいれば、その仕事に興味を持つ人は一定数いる」という前提ということです。3週間ほど海に出て1週間休むといった、集団生活を伴う特殊な働き方でも、日本全国で見れば「やってみたい」「興味がある」という人は確かに存在します。ただ、その人たちに知られていなかっただけなのです。
知られていないことは、そのまま「新しさ」になる
ただ、この「知られていない」は弱点であるだけではありません。発信する側から見れば、裏返しの強みでもあります。誰も見たことがない、それ自体が新しいからです。
すでに広く知られている仕事は、映しても「知っている」で終わります。ところが、職業として認識すらされていない仕事は、その日常を映すだけで「そんな世界があるのか」に変わります。同じ1本の動画でも、受け手にとっての新しさがまるで違う。ニッチであることは、発信の材料としてはむしろ有利に働きます。
なお、何をどう発信するかの土台については採用アカウントの投稿が届かない理由で整理しています。
地方の会社にも同じことが言える
ここまで「ニッチな業界」を軸に書いてきましたが、同じ構図は地方の会社にも当てはまります。地方には、その土地ならではの産業や、地域の暮らしを支える仕事が数多くあります。そうした仕事も、都市部の求職者からは見えていません。「地元に人がいない」のではなく、「その仕事があることを知られていない」だけという状態です。
SNSに地理の壁はありません。地方の小さな会社の発信でも、興味を持つ人が全国にいれば届きます。移住を考えている人、その業界に関心のある人——通勤圏だけを母集団だと思い込んでいると、この広がりを取りこぼします。
それでも押さえておきたいこと
期待をふくらませる話ばかりになったので、現実的な注意も添えておきます。
先の海運会社のように大きく再生される保証はありません。バズは狙って起こせるものではなく、あくまで結果です。大事なのは、狙った層に届いて、その中から採用につながること。 再生数そのものが目的ではありません。
また、採用できる人数には物理的な上限があります。応募が殺到しても受け入れられる枠が限られていれば、そこは正直に伝える必要があります。むやみに間口を広げるより、「こういう働き方に合う人」を具体的に描いて発信するほうが、結果的にミスマッチが減ります。
まとめ
ニッチな業界のSNS採用について整理しました。
- ニッチな仕事で応募が来ないのは、魅力がないからではなく、選択肢として認識されていないから。まず存在を知らせるところから始める
- 文字では伝わらない仕事ほど、動画で見せると理解が変わる。知られていないこと自体が、受け手にとっての新しさになる
- 同じ構図は地方の会社にも当てはまる。SNSに地理の壁はなく、通勤圏だけを母集団と考えると広がりを取りこぼす
- 「知られてさえいれば興味を持つ人は一定数いる」。ただし再生数ではなく、狙った層に届いて採用につながるかで見る
自社の仕事のどこを見せれば伝わるのか、一緒に整理することもできます。まずはお気軽に無料相談からご相談ください。
