投稿の内容は悪くないし、撮影も編集も丁寧にやっている。それなのに再生数が伸びず、いつも同じくらいの数字で止まる——採用アカウントでよくある行き詰まりです。このとき企画や見せ方を変えても、状況が動かないことがあります。原因が投稿ではなく、アカウントそのものの見られ方にある場合です。
SNSは「誰に見せるか」を機械が決めている
前提として、SNSの表示は人が決めていません。見たい人に見たい投稿を届けるための計算式が動いていて、それが誰に何を表示するかを判断しています。
考えてみれば当然で、運営会社の社員が全ユーザーの好みを把握して手作業で配ることは不可能です。だから代わりに、いいねや保存といった反応を手がかりにします。ある人が保存した投稿は、その人が好きな投稿だと判断します。そして似た内容の投稿を、似た反応をする人たちに配っていきます。この繰り返しで配信先が決まっています。
ここから逆算すると、こういうことになります。投稿を届けたければ、まず「これは何についてのアカウントか」を機械に理解してもらう必要があります。 理解されていないアカウントは、いい投稿を出しても配り先が決まらず、そもそも表示されません。
「何のアカウントか」が伝わると何が変わるか
アカウントのテーマが正しく認識されると、次のことが起こります。
- 関連するユーザーに投稿が届きやすくなる
- 発見欄など、フォロワー以外への露出が増える
- 届く相手が合っているぶん反応率が上がり、さらに配信が伸びる
採用の文脈に置き換えると、転職や就職を考えている人、同じ業界の情報をよく見ている人のところに届きやすくなる、ということです。逆に認識されていないと、届く相手がばらついて反応も鈍くなります。投稿の質以前の段階で頭打ちになるということです。
「いい投稿を作っているのに伸びない」という状態は、この段階でつまずいていることが少なくありません。
採用アカウントでよくある「分類できない」状態
では、なぜ認識されないのか。採用アカウントに多いのは、発信内容が混ざっているケースです。
- 採用の投稿と、商品やサービスの宣伝が混在している
- 会社のイベント告知と、社員紹介と、業界ニュースが順不同で流れている
- 経営者の個人的な発信が混ざっている
どれも会社としては発信したい内容ですが、受け取る側から見るとこのアカウントが何のためのものか分かりません。 機械にとっても同じで、分類ができないまま配信先が定まりません。
対処はシンプルで、発信テーマを絞ることです。 採用のためのアカウントなら、そこに寄せます。商品の宣伝も必要なら、アカウントを分けたほうが無難です。1つで全部やろうとすると、どちらの層にも届きにくくなります。
ハッシュタグも同じ考え方で機能します。投稿の内容と関係のないタグを大量に付けるより、内容に関連するものを絞って付けるほうが効きます。 誰も検索しない言葉を並べても意味がないので、実際に検索されている言葉を選ぶことも押さえておきたい点です。
そしてプロフィールと投稿の内容が一致していること。プロフィールで「社員のリアルを発信します」と書いておきながら、投稿が告知ばかりでは、見る人にとっても機械にとっても像が結びません。
1本の動画の中でも、同じことが起きている
分類はアカウント単位だけの話ではありません。投稿1本の中でも、話している内容と映っている映像がずれていると同じ問題が起きます。
分かりやすい例で言うと、仕事のやりがいについて語っているのに、背景に流しているのがまったく関係のない映像だった場合です。機械は映像も手がかりにするため、映像側のジャンルで判断してしまうことがあります。すると、そのジャンルに関心のある人に配られます。ところが中身は仕事の話なので、届いた人は反応しません。反応されなかったという結果は、次の配信にも影響します。
対処は単純で、話している内容と映像の中身を合わせることです。現場の話をするなら現場を映し、人の話をするならその人が映っている状態にします。当たり前のようですが、素材が足りないときに手持ちの映像で埋めてしまい、ここがずれるケースは珍しくありません。
もう1つ、動画そのものの作りにも基本があります。縦型のフォーマットに合わせて、画面いっぱいに使うことです。横向きで撮った映像を縦の枠に入れると上下に黒帯が出て、画面を大きく使えないぶん見てもらいにくくなります。最後まで見られたか、途中で離脱されたかも配信の判断材料になるため、ここは押さえておきたいところです。
企業の採用アカウントには勧めない手法
ここで、あえて触れておきたいことがあります。アカウントの分類を早める手法として、次のようなやり方が語られることがあります。
- 同じジャンルのアカウントを大量にフォローする
- 他のアカウントに毎日大量の「いいね」を送る
- 面識のない相手にDMを送って交流する
個人が副業のアカウントを育てる文脈では使われる手法ですが、企業の採用アカウントには勧めません。
こうした手法が狙っているのは、同じジャンルの発信者と接点を持つことで「このアカウントは◯◯系だ」と機械に早く認識させることです。目的そのものは間違っていません。 ただ、企業の採用アカウントが採る手段としては勧められない理由があります。
- 企業名を背負ったアカウントの振る舞いとして、リスクが大きい
- 同じ目的が、リスクのない手段で達成できる
企業名を背負った振る舞いとして、リスクが大きい
不特定多数に営業的なDMを送る、機械的にいいねを配る——個人アカウントなら見過ごされることも、企業名でやれば印象に残ります。求職者は企業の振る舞いを見ています。過剰なアクションはプラットフォーム側から制限を受ける可能性もあり、そもそも推奨されているやり方ではありません。
同じ目的が、リスクのない手段で達成できる
そして、テーマを絞る、内容に合ったハッシュタグを使う、プロフィールと投稿を揃える——認識の手がかりは、ここまでで十分に作れます。 わざわざリスクを取る必要がありません。
地味ですが、これが遠回りに見えて確実です。
まとめ
投稿が届かない構造について整理しました。
- SNSは反応を手がかりに配信先を決めている。何のアカウントか認識されていないと、いい投稿でも配り先が定まらず表示されない
- 採用と宣伝と告知が混在すると分類できなくなる。テーマを絞り、必要なら用途ごとにアカウントを分ける
- 大量フォローやDM営業は、企業名を背負うアカウントにはリスクが大きい。同じ目的は、テーマ・ハッシュタグ・プロフィールの整合で狙える
- 投稿単位でも分類は起きる。話している内容と映像の中身を合わせ、縦型の画面いっぱいに使う
なお、ここで扱ったのは「届く相手を正しくする」話であって、数字を伸ばすこと自体が目的ではありません。何を指標にすべきかは採用SNSのKPIはフォロワー数ではないで、届いた先に用意すべきものは採用サイトの費用はいくらが妥当かで整理しています。
自社のアカウントが何のアカウントとして見られているか、投稿の棚卸しから一緒に整理することもできます。まずはお気軽に無料相談からご相談ください。
