採用アカウントを1年、2年と続けて、ようやく応募につながり始めた。そこで突然、投稿が誰にも表示されなくなる——SNS運用にはこのリスクがあります。個人アカウントなら作り直せば済む話ですが、企業の採用アカウントが止まると、採用活動の入口がひとつ丸ごと消えます。 しかも積み上げた投稿とフォロワーは戻りません。本記事では、何をすると起こるのかと、避けるための運用を整理します。
「止まる」には2種類ある
まず区別しておきます。アカウントが機能しなくなる状態には、程度の違う2つがあります。
- 表示制限:発見タブやハッシュタグ検索に出なくなる
- 凍結:アカウント自体が使えなくなる
表示制限
フォロワー以外への露出がほぼ止まる状態です。投稿はできるし、フォロワーには届く。だから一見なんともないように見えます。
やっかいなのは、自動で知らせが届くとは限らないことです。 気づかないまま運用を続けてしまうことになります。以前は安定して届いていた投稿の再生数が、はっきりと落ち込んだまま戻らない——そうした変化があれば、この状態を疑ってください。立ち上げ期で数字が伸びないのとは別の話で、それまでの水準から急に落ちたかどうかが見分ける手がかりになります。
なお、後述するアカウントステータスの画面からは、リーチが制限されていないかを確認できます。おかしいと感じたら、投稿の作り方を変える前にここを見てください。
凍結
アカウントそのものが使えなくなる状態です。規約違反が重い場合や、表示制限に当たるような動きを繰り返した場合に起こり得ます。こうなると、投稿もフォロワーも失います。
企業アカウントが引っかかりやすい動き
では何が原因になるのか。企業の採用アカウントで起こりやすいものを挙げます。
- 短時間に大量のアクションをする
- 同じ内容のメッセージを大量に送る
- 毎回まったく同じハッシュタグを使う
- 現金や金券が当たる企画をする
- 非公式の自動化ツールを使う
短時間に大量のアクションをする
「早く認知を広げよう」として、いいねやフォローを一気に行うケースです。短時間に集中すると、機械的な動きだと判断されやすくなります。
そもそも採用アカウントでこの動きに意味は薄く、集まるのは候補者ではありません。時間をかけるなら、投稿そのものの質を上げるほうに使ったほうが確実です。
同じ内容のメッセージを大量に送る
スカウト目的で、定型文のダイレクトメッセージを多数に送るケースです。営業的に見えるだけでなく、リスクにも直結します。送るなら相手ごとに内容を変えてください。数を追うなら、そもそもSNSのDMではなく専用のスカウトサービスを使うほうが筋がいいはずです。なお、こうしたアクションが採用アカウントに向かない理由は採用アカウントの投稿が届かない理由でも整理しています。
毎回まったく同じハッシュタグを使う
テンプレートを作って毎回貼り付けている状態です。手間は省けますが、同じ組み合わせの反復は避けたほうが無難です。投稿内容に合わせて何パターンか用意し、使い分けてください。
現金や金券が当たる企画をする
「フォローで抽選、ギフト券プレゼント」といった企画は、規約に触れる可能性があります。採用アカウントで実施する場面は少ないと思いますが、広報部門とアカウントを兼用している場合は注意してください。
非公式の自動化ツールを使う
運用を効率化したくなる気持ちは分かりますが、公認されていない自動化ツールの使用はリスクが高くなります。使うなら、プラットフォームが公式に認めている連携ツールを選んでください。
投稿の中身で気をつけること
動き方だけでなく、投稿の中身が原因になることもあります。
現場作業を扱う業種では、安全面で刺激の強い映像が判断に引っかかることがあります。夏場の作業風景で肌の露出が多い写真も、意図とは無関係に検知されるケースがあるため、服装に配慮して撮影しておくと安全です。
賃金の書き方についても触れておきます。「金額を出すとSNSの規約に引っかかるのでは」と心配する声を聞くことがありますが、求人として給与を示すことが問題になるわけではありません。 プラットフォームが規制しているのは「誰でも月◯◯万円稼げる」といった儲け話の広告表現であって、募集条件の提示とは別の話です。
むしろ伏せるほうにリスクがあります。 職業安定法では、募集にあたって賃金を含む労働条件を明示することが求められます。これは媒体を問わず、自社サイトでもSNSでも変わりません。SNS投稿が募集広告として機能するなら、賃金の明示が必要になります。
投稿の中に条件をすべて書ききれない場合は、その旨を明記したうえで採用サイトや募集要項に置き、応募者と最初に接触する時点までにすべての条件を明示する——この形にしておけば、法令上も運用上も無理がありません。「詳細はプロフィールのリンクから」と添えるのは、その意味で理にかなっています。
復旧できる場合もある
もし表示制限が疑われる状態になったら、打てる手はあります。まず、原因になりそうな投稿に心当たりがあれば削除します。そのうえで一定期間アカウントの操作を止めて様子を見る、という対処が現場では取られます。確実に戻る方法ではありませんが、原因が分からないまま投稿を増やしても状況は変わりません。
凍結された場合は、プラットフォームに異議を申し立てるのが基本の流れになります。時間はかかりますが、そこから復旧する例もあります。
いずれにしても、起きてから調べ始めると対応が遅れます。誰が気づき、誰が対応するのかを決めておくだけでも違います。運用を1人に任せきりにしていると、その人が気づかない限り放置されます。
止まる前提で備えておく
どれだけ気をつけても、ゼロにはできません。止まった場合に何が残るかを考えておくほうが現実的です。
- 投稿した画像・動画の元データを社内に保管しておく
- 採用サイトなど、自社で管理できる場所を持っておく
- 求職者との接点をSNS1本に依存しない
とくに1つ目は基本です。元データが手元にあれば、最悪の場合でも作り直せます。逆にアプリの中だけで完結させていると、アクセスできなくなった時点で何も残りません。
2つ目も重要です。SNSは他社のプラットフォームを借りている状態なので、ルールも判断も向こうにあります。一方、採用サイトは自社の資産です。SNSで知ってもらい、自社サイトで判断してもらう——この形にしておけば、片方が止まってももう片方が残ります。
なお、アカウントの状態はアプリから確認できます。プロフィール右上のメニューから「アカウントステータス」を開くと、規約に関する問題が起きていないか、リーチが制限されていないかを見られます。月に一度は目を通しておくと、早く気づけます。
まとめ
採用アカウントのリスク管理について整理しました。
- 表示制限は通知なしで起こる。再生数が急に落ちたら、投稿の作り方ではなく配信が絞られている可能性を疑う
- 気をつけたいのは、大量のアクション、定型文の一斉送信、同じタグの貼り付け運用、金券企画、非公式ツール。いずれも採用アカウントで得るものが少ない
- 完全には防げないので、元データの保管と、自社で管理できる場所を持っておくことで被害を小さくする
自社の運用にリスクがないか、投稿と体制の点検から一緒に整理することもできます。まずはお気軽に無料相談からご相談ください。
