無料で始められるからと採用アカウントを作ってみたものの、いざとなると何を投稿すればいいのか分からない。あるいは、とりあえず自社の情報を流してはいるが反応がない——採用SNSでいちばん多いつまずきです。原因はネタの引き出しの少なさではなく、その手前の発信のコンセプトが決まっていないことにあります。何を軸に発信するかを、見ている人の側から考えます。
企業アカウントは、放っておくと「面白くない」
まず前提を1つ。企業のアカウントは、そのままだと見てもらえません。
自分がSNSを見るときを思い出してください。関わりのない業界の、知らない会社のアカウントを、わざわざ見に行くでしょうか。ほとんどの人は行きません。人がSNSを見るのは、暇つぶしや情報収集、あるいはエンタメとしてです。
ところが、いざ投稿する側になると、多くの企業が「自分たちの発信したいこと」を一方的に流し始めます。求人情報、イベント告知、会社のお知らせ。見る側の動機と、出す側の都合がずれている。 これが「反応がない」のいちばんの原因です。
裏を返せば、見ている人が何を求めているかに合わせれば、名前を知られていない中小企業でも見てもらえます。「おすすめ」で受動的に動画が流れてくる仕組みのおかげで、いまは知名度に関係なく届く可能性があります。ただし、届く中身であれば、という条件つきです。
なぜ「おすすめ」で中小企業にもチャンスがあるのか
「知名度がないから無理」と感じるかもしれませんが、事情は変わりました。
かつては、検索して能動的にたどり着いてもらう必要があり、そこに来られるのは名の知れた会社が中心でした。いまは縦型のショート動画が主流になり、見ている人の興味に合わせて次々と動画が「おすすめ」される仕組みになっています。こちらから探しに行かせるのではなく、向こうの画面に自動で流れていく。この変化のおかげで、名前を知られていない中小企業の投稿でも、関心の合う人のところへ届くようになりました。
ただし、届く枠に入っても中身がつまらなければ素通りされます。ここで効いてくるのが、次の話です。
見てもらえる投稿がくすぐる、5つの感情
では、どういう投稿なら見てもらえるのか。人がSNSを見ていて反応するのは、次の5つの感情のどれかだと言われています。
- 面白い
- 可愛い・美しい
- ためになる
- 憧れる・すごい
- 共感する(分かる分かる、あるある)
いちいち「この動画は面白いな」と口に出すわけではありませんが、このどれかがくすぐられないと、そのまま飛ばされます。 逆に言えば、投稿を作るときに「これはどの感情に当たるのか」を意識するだけで、見てもらえる確率が変わります。
感じ方は人によって、世代によって違います。それでも、「この投稿は、こういう人には面白いと思ってもらえそうだ」「これは、すごいと思ってもらえそうだ」という見当は、どの会社にもつけられるはずです。
企業だからこそ、くすぐれる感情がある
ここで中小企業に有利な点があります。個人では出せないものを、企業は持っているのです。
製品、設備、技術、現場。 これらは、それ自体が「すごい」「面白い」を生む素材になります。個人がランチの写真を上げても、知らない人には興味を持たれません。しかし、普段見られない工場の設備や、精密な作業の様子、大きな機械が動く現場は、それだけで目を引きます。
つまり、5つの感情に自社を当てはめて棚卸ししてみることです。
- うちの何が「面白い」と思ってもらえるか
- うちの何が「すごい」と思ってもらえるか
- うちの何に「共感」してもらえるか
「地味な仕事だから見せるものがない」と思っている会社ほど、当たり前になっている現場の中に、外から見れば珍しいものが眠っています。
同じ投稿でも「誰が出すか」で変わる
1つ注意したいのは、まったく同じ内容でも、発信者によって受け取られ方が変わることです。
たとえば「今日はこれを食べました」という投稿。見ず知らずの人が出しても、誰も興味を持ちません。ところが、すでにファンのついた発信者が同じことを出すと、「この人が食べているのか」と関心を集めます。中身が同じでも、誰が言うかで価値が変わるのです。
採用アカウントに当てはめると、最初のうちは「知らない会社の自己紹介」でしかありません。だからこそ序盤は、会社を売り込む投稿より、5つの感情のどれかで内容そのものが面白い投稿を積むほうが効きます。見てもらう回数が増え、少しずつ知られていくと、会社の話にも耳を傾けてもらえるようになります。順番があるということです。
「認知を取る」と「魅力を伝える」は別物
もう1つ、始める前に整理しておきたい区別があります。知らない人に知ってもらう段階と、すでに知っている人に魅力を伝える段階では、発信の戦い方が違います。
まだ誰にも知られていないなら、広く届く投稿——5つの感情のどれかで、通りすがりの人の指を止める投稿が要ります。一方、求人媒体などで自社を知った人に「ここで働きたい」と思ってもらいたいなら、仕事の中身や働く人を深く見せる投稿になります。
この2つを混同すると、「認知を取りたいのに堅い会社紹介ばかり」「志望度を上げたいのに浅い話ばかり」という、ちぐはぐな運用になります。自社がいまどちらを必要としているのかを、先に決めておいてください。
なお、追うべき指標については採用SNSのKPIはフォロワー数ではないで整理しています。
まとめ
採用SNSのコンセプト設計について整理しました。
- 企業アカウントは放っておくと面白くない。見る側の動機に合わせないと、自分たちの都合を流すだけになる
- 見てもらえる投稿は「面白い・可愛い・ためになる・憧れる・共感」の5つの感情のどれかをくすぐる。自社を当てはめて棚卸しする
- 製品・設備・技術・現場は、企業だからこそ出せる素材。認知を取る段階と魅力を伝える段階は分けて考える
自社の何が「見てもらえる素材」になるのか、棚卸しから一緒に整理することもできます。まずはお気軽に無料相談からご相談ください。
