採用SNSを始めるべきか迷う会社が最初に引っかかるのは、たいてい「そもそも学生は見ているのか」という点です。手間をかけて発信しても誰も見ていないなら意味がない、という不安はもっともです。ある採用支援会社が、就活前・就活中・就活を終えた現役の大学生4人に行ったインタビューでは、この問いへの答えは見事に分かれました。企業で長期インターンをしている学生への聞き取りなので就活生全体の縮図ではありませんが、分かれ方そのものに示唆があります。順に見ていきます。
見ている学生が見ているもの
見ていた学生が挙げたのは、社員インタビューと社風の2つでした。
社員インタビューでは、その人がどのように活躍しているのかを重点的に見ていたといいます。第一志望の企業についてはチャンネル登録し、面接の前も、内定をもらった後も、どのフェーズでも見続けていたという学生もいました。行きたい企業で活躍している人のインタビュー動画を見て、就活のモチベーションにしていたそうです。
社風については、もっと日常的な場面が見られていました。社員旅行の風景や、休憩時間をどう過ごしているか。こうした場面が「入社した後のリアルさを掴む」意味で参考になったといいます。求人票に書かれた条件からは見えない部分です。
見るタイミングは、選考前の情報収集や面接対策、そして最終的にどの会社に決めるかを考える段階でした。つまり応募の入口から入社の意思決定まで、選考の全期間にわたって見られていることになります。
媒体としてはInstagramやXで情報を集めていたという声のほか、YouTubeについては「音声で聞けるのっていいな」という声もありました。同じ内容でも、文字で読むのと人が話しているのとでは届き方が変わるということです。
見ていない学生の理由は、2つに分かれた
一方で、あまり見ていないという学生もいました。理由は次の2つに分かれ、その対照が興味深いところです。
- 大手中心に受けていて、情報に困らなかった
- 地元にやっている企業が少なく、見ようがない
大手中心で、情報に困らなかった
ホームページが充実していて打ち出している情報も多い、という問いかけに学生も同意していました。口コミサイトを「リアルな声」として読んでいた、という話です。実際、ナビサイト経由で参加した説明会や座談会もあり、それで十分だと考えていたそうです。直接会える接点が用意されていれば、発信はその代わりになる部分があるということです。
地元にやっている企業が少ない
地方での就職を希望している学生からは、そもそもSNSを使う風習自体があまりなく、イベントも多くないため情報収集に苦戦している、という話が出ました。結果として、直接足を運ぶかイベントで話を聞くしかない状態になっています。東京の企業はYouTubeで明るい雰囲気や社風が分かりやすいので、地元の企業にもやってほしい、というのが率直な感想でした。
この2つは、裏返すと同じことを示しています。情報が十分にある会社は見られなくても困らない。情報が足りない会社ほど、発信の有無が効いてくる。 知名度で不利な中小企業や地方企業にとって、これは軽い話ではありません。
「特に中小企業は疑っちゃいます」
もう一段踏み込んだ声もありました。求人サイトに掲載されている内容が、本当に正確なのかどうか。ここに引っかかりを感じたという学生がいます。
印象的だったのが「特に中小企業は疑っちゃいますね」という言葉です。裏を返せば、疑いを晴らす手段があるということでもあります。残業時間のような数字こそ、社員がカメラの前で実際に話している様子があれば納得できる、という指摘でした。
大手中心に受けていた学生も、「もし自分が中小企業を中心に受けていたら、口コミの数も少ないので採用SNSがあったほうが安心感につながる」と話しています。求人票と発信は、どちらか一方ではなく合わせ技で効くということです。
発信していること自体が、ひとつのメッセージになる
もう1つ見逃せないのが、コンテンツの中身以前の効果です。
発信している企業とそうでない企業とで印象が大きく変わるわけではない、と前置きしたうえで、ある学生はこう続けました。「やっているだけで、この企業は新卒採用に力を入れてはいるんだな、という印象は確かに抱いた部分もある」。発信の有無そのものが、採用への姿勢として読まれています。
逆の側面もあります。情報が落ちていないと、企業を理解しない状態で面接に臨むことになり「しんどい」という声がありました。ホームページを見たりOB訪問をしたりすれば情報は取れるものの、それには工数がかかる——という問いかけに、学生も同意していました。応募に至らなかった理由が、魅力の不足ではなく単に情報が探しにくかっただけだとしたら、もったいない話です。
学生の言葉から見える「何を出すか」
インタビューで学生が挙げた「見たいもの」は、はっきりしていました。
- 社風や会社の雰囲気、オフィスの空気
- 活躍している社員のインタビュー
- 求人票の数字を裏づける、社員自身の言葉
いずれも、社員の生の声と関係性が見えるかどうかが共通しています。凝った映像である必要はなく、休憩時間の様子のような日常が求められている点も押さえておきたいところです。
なお、こうしたコンテンツをどう作るかについては採用動画はスマホ1台で作れるで手順を整理しています。
まとめ
学生の声から見えたことを整理します。
- 見ている学生は、社員インタビューと社風を選考の全期間にわたって見ていた。第一志望の企業は繰り返し見に来られる
- 見ていない学生の理由は「大手で情報に困らなかった」と「地元にやっている企業が少ない」の2通りだった。いずれも、情報が足りない会社ほど発信が効くことを示している
- 求人票の数字は「本当か」と受け取られやすく、中小企業ほどその傾向が出る。社員が自分の言葉で話す様子が、その数字を裏づける
自社の情報が学生から見てどう映っているのか、現状の棚卸しから一緒に整理することもできます。まずはお気軽に無料相談からご相談ください。
